ロサンゼルスダウンタウンから東へ1時間ほど車を走らせる。I-15号線からのどかな郊外の景色が広がる91号線に入りおよそ5分。地元の人々に評判の「将軍コロナ店」におじゃました。ここは鉄板焼きを始め、30種類以上のバラエティ豊かな寿司ロールなどで、地元の人々に評判のエンターテイメントレストラン。
「こんにちわ」、そう言ってはにかんだ笑顔で私たちを迎えてくれたKOBEこと小林シェフ。学生の頃からバスケットが大好きでニックネームのKOBEは、もちろんあのKOBE BRYANTと自分の苗字のKOBAからとったもの。バスケットの話をすると何とも楽しそうに、にこっと笑う。そんな少年のような一面を持ったシェフだが、実は彼、若干29歳にしてコロナ店で5人のスタッフをまとめるヘッド寿司シェフなのだ。将軍の店舗展開に伴い、さまざまな店舗で活躍をした後、現在のコロナ店にたどり着く。
日本でもレストラン業界で働いた経験を持つKOBEシェフに「日本とアメリカの違いは?」と尋ねると「サービスの仕方です」という答え。日本では、丁寧ながらもスタッフとお客様が一定の距離を持って接するサービスが好まれるのが一般的だが、アメリカではフレンドリーに話ができるサービスが好まれる。

コロナ店の寿司シェフはみんなスペイン語にも長けているそう。「本当は口下手なんですけど、英語やスペイン語だとフレンドリーになっちゃうんです」。本当に楽しそうに仕事をしている姿が目に浮かぶ。カウンター越しにお客様と直接会話ができるのが寿司シェフの特権というKOBEシェフだが、お客様と近いということは、自分で作った料理を食べたお客様の表情が手に取るようにわかるということ。美味しいと感じれば嬉しい表情になる。逆に、満足いかなければそれが表情に出る。そんな時はお客様の意見を聞き、柔軟性を持って商品を作り直し、美味しいと思ってもらえるように誠意を尽くす。そのような小さな努力が伝わりお客様がリピーターになってくれた時や、そのお客様に合った特別メニューを提供し「もう一個ちょうだい!」と言われた時が、寿司シェフとして一番嬉しい瞬間だと言う。

KOBEシェフが毎日気を使っていること、それはシェフ全員がハッピーであること。「自分がハッピーじゃななければ、お客様をハッピーにすることはできないですよね。これはいつもスタッフに伝えていることなんです」と、にこやかにそう語るKOBEシェフ。「あぁ、お客さんはこうして彼の魅力に惹かれ、再び彼に会いに来るのだろう」と、彼のサービスの真髄を垣間見た一瞬だった。「シェフをしていて苦しかったことは?」と尋ねると、しばらくの間考えた彼は「うーん、ないですね。僕、スタッフに恵まれていますから」と笑う。常に前向きな姿勢で、また柔軟な思考で、さまざまな苦境も苦境と呼ばず、そこから多くのことを吸収し次のステージへの糧とする。いい人間がいい店を生み出す。KOBEシェフが持つプラスのエネルギーが、同じ職場のスタッフたちにも派生し、その結果、日々地元の人でにぎわう人気店であり続ける店を作っているのだろう。

自分のボスのような素晴らしい寿司シェフになりたい、と語るKOBEシェフは将来は自らの店を持ちたいという夢もこっそり教えてくれた。シェフに会いに来るお客様で毎日カウンターが埋まる、そんなKOBEシェフのお店が誕生する日もそう遠くはないかもしれない。

将軍コロナ店、一度足を運んでみてはいかがだろうか。KOBEシェフの真のホスピタリティに触れ、素晴らしい時間を味わえることだろう。