海外に住む日本人達にとって、「あぁ、私って日本人なんだなぁ。」って瞬間がよくある。例えば、アメリカ人のジョークをすぐにジョークと察知できなかった時、目上の人や先生が通ると何故か頭を下げてしまう時...食生活の中では特に、そんな瞬間が多い。梅干を想像すると唾が湧き出る時、コーヒーも紅茶も好きだけど食後はやっぱり緑茶な時など。日本人にとって一番よくあるその瞬間とは、日本食を食べるときの味噌汁をすする時だろう。ほのかに香る味噌、箸で再度かき混ぜ、すするその日本の味...心身に染み渡る。
味噌汁は、日本人にとって欠かせない。朝の忙しい時間帯、ご飯のお供にと、家庭で毎日のように作られ、食されている。室町時代(14世紀)から農家などの田舎料理として、食卓に登場した。熱湯に鰹や昆布でダシをとり、そのだし汁に味噌をほぐしていく。ダシは重要で、味噌汁のベースとなり、その和む味を生み出す素だ。具や味噌のバラエティーは家庭や地域により変わり、それぞれの地域で作られる味噌汁は十人十色、屋根の下では、千差万別だ。
まずは、味噌について迫ってみよう。味噌は、いろいろな種類があるが、大きく分けると米味噌、麦味噌、豆味噌と分けられる。その中でも赤味噌と白味噌とあり、赤味噌は、1年以上熟成させたもので熟成期間が長いことから褐色の色が着き、味に塩辛さ、そしてコクがある。白味噌は、熟成期間が数ヶ月と短い。色が白く、麹の糖分により甘さがある。材料の麦などの粒子が残るものもある。この他にも、混ぜ合わせた「合わせ味噌」なども存在する。この味噌の違いは、違う味を楽しむ分けではなく、地域によって使われる物が違う。例えば、東京の家庭では、赤の米味噌が多く、名古屋の家庭では、淡色の豆味噌が多い。もし結婚して、自分のお嫁さんが違う味噌を使うようであれば、お袋の味から離れなければならないので、それは大変なことだ。
その味噌を生かすか、殺すかはその具にかかっている。全国一般的に豆腐、わかめ、ネギなどが使われる。他の具の選び方は地域というより、個人好みにより変わってくる。珍しいものでは、椎茸、卵、もやしやナスなど、もはや何を入れても大丈夫そうだ。その中でも、海鮮類は味噌との相性抜群である。島国日本の海鮮の素晴らしさと、日本を象徴する食材味噌が合うというのは、偶然と呼ぶにはあまりにも出来すぎた偶然だ。アサリやシジミの味噌汁は、その海の風味が味噌汁を一層味わい深くさせる。ちなみにこのような貝類の味噌汁は肝臓を活性化させる働きがあり、二日酔いにもよいとされている。いいこと尽くしだ。魚介類以外にも、豚肉や野菜を入れた栄養たっぷりの豚汁や、松茸や蕪を入れた季節の味噌汁など、工夫によって、より魅力的な味噌汁を作ることが出来る。
今では、即席でも美味しく味噌汁を味わうことができる。手作りと味は当然違ってくるが、その独特の即席味噌汁の味は、根強いファンもいるとか?即席味噌を椀に捻りだし、乾燥具材もその上にふりかけ、熱湯を注げば、出来上がり。具や味噌の種類も豊富。なんて便利な世の中になったのだろう。
アメリカでは、その味噌汁は外国人にも人気で、食事前のアパタイザーとしても好まれる。日本人の基本としては、「一汁一菜」。主食の米とともに、おかず一品、味噌汁として食される。宴などでは、「一汁三菜」とも呼ばれてきた。味噌汁は、その日本料理一軍リストから外されることはない。食事の締めとしても、美味しく味わうことができる。食前、主食、食後、そして朝、昼、晩といつでも心を和ましてくれるのは、その故郷の味、味噌汁だけだろう。その汁をすすり、舌を少し火傷しながらも思うのは、「あぁ、やっぱり味噌汁が一番!」そんなあなたは日本人、または前世が日本人なのであろう(?)。